雑念日記

愛する本たちとともに送る、雑念だらけの日々。
文学・小説を中心にした簡単なレビュー。(最近面倒なので更新は程ほどに)

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『月光・暮坂』 小島信夫

月光・暮坂 小島信夫後期作品集
月光・暮坂 小島信夫後期作品集
小島 信夫

先週末に読み終えたのですが、延々イベントのことばかり書いていたので遅くなりました。

小島信夫の『月光・暮坂』です。ずっと「げっこう」だと思っていたら「がっこう」なんですね、知らなかった。今本の表紙を見て知りました。

個人的に好きなのは殉教・微笑抱擁家族です。この二つについてはどちらかというと、象徴的であったり寓話的であったりするものが多いと思います。どこかカフカっぽい悲しいユーモアがあり、それでいてリアリティを感じます。

この『月光・暮坂』はといいますと、そういった象徴性をあまり感じるものではないです。というのが、基本的に作者である小島信夫自身の話(と思われるもの)だからです。

ただこの作者自身の話がどこまで本当なのか、つまりどこまでが事実でどこからがフィクションなのか、まったくわからない。

さらに散々書いてきたことについて、何事もなかったかのように、結局はその詳しいことは「忘れてしまった」とか言ってしまうところがとても面白い。

また、作品を書いていくにつれて、作者の思考がどうやら飛躍していくらしく、特にこの短編集におさめられている『暮坂』なんかは話がどんどん進展していく。素朴な語りだけれども、気づいたら話は進んでいるし、かと思えば、最初の方の話にもどっていったり。で、気づいたらぐいぐいと先にすすんでいる。頭と目の動きがなんとなく追いつかない。

そういった混乱がとても面白い。どことなく、読み手を試しているようにも思えるし、何か具体的なテーマを示すことで、批評の対象となることを拒んでいるような気がしてしまいます。
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